Amy-A

中央線のとある駅下車バス10分のところに住んでいます。

記事一覧(24)

沿ってみる

樹木希林さんが亡くなられました。 子どものころから当たり前のようにテレビに出ていた人が急逝されると、なんだか心にちいさい穴が開き、そこからひゅうと風が吹くような気分になります。子どものころは“おもしろい人”、内田裕也氏との結婚生活を興味深く感じ、モックンが婿入りしたと聞けば驚き、最近は枯れた演技と語りで他の追随を許さない大女優となって、スクリーンやテレビを通じて見知っていた方。 こないだ「むむむ」と唸ったのは、映画『日々是好日』の試写会に高円宮妃久子様がご臨席され、樹木さんがご病気で出席ができなかったときのメッセージです。この度高円宮久子妃殿下並びに同絢子女王殿下の御臨席を賜りまして ひたすら有難く頭(こうべ)を低(た)れるばかりです 本を買って戴いて生活しているけれども、こんな立派なメッセージを自筆でお届けすることができるだろうか。自分を振り返り、ただ恥じ入るばかりでした。 生涯(ふたり目)のパートナー、内田裕也氏についても、こんな風に話しておられました(出典が見つからないのでウロなのはご勘弁を)いや、まあ、大変な人なんですけどね、わたしずっと、この人に沿ってこなかったと思ったんですよ。何もしなくてもいいから、これからは沿っていこう、そう決めたんです。 たぶん、トークショーか何かで直接しゃべっておられたんじゃないかな。 そのとき、なるほどと自分を顧みたわけですよ。 うちの夫氏は結構変わり者で、まあ、いろいろ陰で表で言う人がいます。妻として、嫌な奴と思ったことも、本気で怒ったこともあります。 でも、こんなわたしを好いてくれて、20年以上夫婦をやってきて、今さらどうのこうのというのはやめて、あの人と“沿って”いこうと考えています。 つかず離れず、依存もせず、少し距離を置いて一緒に歩いて行く。 うまくできればいいんですけどね。まあ、ちょっと長い目で見守っててください。

ほんと、めちゃくちゃなんだけど

 雨まじりの9月15日。インテリジェントなビルのインテリジェントな関門をくぐり、おしゃれなカフェ風スペースにたどり着いた。 待っている間、貨物用エレベーターがあるのに気づいた。あっちもオートロック式だけど、ヤマトさんが出入りした隙を狙って入ったら上に行けるかも。一瞬考えたけど不法侵入はよくないと思い直す(あとで聞いたら、そっちから入ると大変なことになったのだとわかった。セキュリティー上詳細は書かない)。 この日の主役、森信太郎氏はTwitterのアイコンそっくりの青年だった。キャスケットをかぶり、(ぼくがこんなところにいていいのでしょうか)みたいな顔をして、所在なげに座っている。声をかけたいけど、いきなり初対面のおばちゃんが威嚇してイベントが台無しになってはいかん。編集Tさんからお声がけがあってからにしようと踏みとどまった。 そして、心肺コンビ、10か月ぶりの再会。 村井理子さんは顔がひとまわり小さくなり、目がくるりと大きくなっていた。前回会ったときもそうだったが、とにかく気が回って、くるくると移動しては、いろいろな人と挨拶している。肺を病んだこっちは相変わらず動きが鈍いし、消耗して痩せた分はしっかりリバウンドしつつあった。元気づけられると同時に、自分もしゃっきりしないといけないなと感じた。 そして! ラブレターまで書いたマイブームのライターさん、栗下直也さんにお会いできたのだ。「安達さん安達さん! この人、『偉人は呑んだ』の!」「偉人は呑んだ!?」「偉人は呑んだ!」 理子さんと何度「偉人は呑んだ!」と繰り返しただろう。お名前でお呼びしろよ自分。 そして同じくマイブームというか、勝手に尊敬している校閲者の牟田都子さんともご挨拶できた。テレビで拝見したとおり、凜として、物静かで、ときおり鋭いコメントをされる方だった。かっこええ。

みんな、夏のせいだ

やっべえ、2か月もブログ書いていない。 肺のほうはおかげさまですっかりよくなったのですが、とにかく疲れやすい。今年の猛暑のせいです。暑すぎます。責任者呼びたいぐらいです。日中外出すると頭がぼうっとして、へろへろとベッドに横になる。むくっと起き上がって何かを始めて、脱水っぽい症状でスポーツドリンクを飲んで横になる。7月はずっとそんな感じでした。 8月は夫実家がある長岡市で花火見物。思えば花火の季節に帰省するのも10年ぶりぐらい。当地には結構足を運んでいるけど、結局法事がらみで3月に集中してました。この7~8年、8月というと書籍の追い込みと重なっていて、夫氏をひとりで実家に送り出し、がりごりと訳稿に向かっていたわけですが、今年は久しぶりに書籍の仕事がない夏。実務翻訳のクライアントが海外ばかりになった今、夏はほんとにヒマでした。出版社から検討を依頼されている本を読むのなら長岡でもできるよね、ということで、義母の都合などなにひとつ考慮せず、強引に花火見物を決めました。 久しぶりの長岡花火は以前よりも洗練されたような印象で、プログラムがサクサクと進んでいきます。プロポーズのメッセージとともに上がる花火とか、「おじいちゃん、おばあちゃん、金婚式おめでとう、孫一同」と、ほのぼのしたかわいい花火は最初のほうで上がったのかな? わたしたちが河川敷に着いたときには企業スポンサーの巨大な花火が上がっていました。セブンイレブン提供の花火が徹底してセブンイレブンカラーを全面に打ち出していたのには笑いました。徹底してるわ。 でも、フェニックス花火と二発の三尺玉には圧倒されました。打ち上げの段取りはある程度コンピューターで制御しているのでしょうが、フェニックス花火は歌とのシンクロが見事。 今年はNHKの地上波で生放送されたそうですが、ご覧になったことのない方のために。

肺を病みまして(3)ピンク・イズ・ニュー・ブラック

 病院の朝は早い。午前2時に入院しても午前6時に灯りが点き、ナースさんたちの足音が急に大きくなる。ワゴンを押して入ってくるなりナースさんが採血し、血圧、検温、酸素飽和度を図り、テキパキ仕事を片付けていく。わたしは身体を差し出すのがやっとだ。 酸素飽和度は90とまだまだだが、熱は38度台まで下がっていた。抗生物質えらい。1度下がるとかなり意識がはっきりしてくる。 午前8時。朝食がやってきた。まだ食べられないよ……。トレイに載った札には〈米飯:180g〉とあるけど、結構なボリュームだ。いやそれより箸がない。着の身着のまま入院したわたしには箸がない。「あのー、お食事には箸が載ってこないんですか?」 おそるおそるカーテンを開け、同部屋のみなさんに声をかける。「あ、わたしの割り箸あげるよ。たくさん買って余ってるんだ」前のベッドから声がして、ショートカットの女性が顔をのぞかせた。 ポップだ!『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』書籍版に登場する厨房のボス、Netflixでは「レッド」と呼ばれているポップそっくりの女性が、わたしに向かって割り箸を差し出している。「ありがとうございます!」「あとで一緒にセブン行こう。足りないものは結構セブンで手に入るよ」

肺を病みまして(2)ドクターGは実在する

「まず、心臓が少し大きい。これはそれほど問題じゃありませんが、肺に影が見えます。心電図にも異常が出ているのですぐに救急対応病院に行ってください。もう手配は済ませてあります」 こないだの病院に2週続けて金曜日に行くことになった。先週「どこも問題ありません」って明け方に追い返したじゃないか。ぶつくさ文句を言ってもしょうがないので、夫氏の車で救急外来に向かう。 さすがに「ヤバい」と思ったのか、今回は研修医2名が問診を担当してくれた。「今の胸の痛みはどれぐらいですか?」 ニヤリ。「ペインスケールですね?」「よくご存じですねー」「そういう本を訳しましたから」 研修医2名、スルー。スルーかよ。39度も熱があるから、とんでもないことをつぶやいているとでも思われたのだろうか。まさかのとき、自分が物書きであることを疑われぬよう、つねに自著を持ち歩け――という作家教室の先生のお言葉を思い出した。 もう一度心電図、ぐさぐさと採血。今飲んでいるお薬やら体調やらを説明したあと、真打ちの先生登場。痛い左の鎖骨周囲を人差し指でぐいっと押した。ぎゃああああ! ぐいっ、ぎゃああああ!を3回ほど繰り返すコントめいたやり取りが終わると、「たしかに炎症があり、左右で高さが違う。肩周辺が腫れている。でも、採血で出た炎症反応と白血球の値はそんなもんじゃない……」とおっしゃった。 考えこむ医師団。当直医の先生が席を外し、ややあって帰ってくると、研修医の先輩格のほうになにやら囁いた。彼はダッシュですっ飛んでいった。「アダチさーん、では肺のCT取りますねー」 肺? 頭の中をクエスチョンマークだらけにしながら廊下に出るわたしたち。研修医先輩は車いすの用意をはじめていた。「遠いから車いすで行きましょう」「いえ、結構です」 は?  間髪入れずに答えたのは夫氏だった。「でも、フロア違いますし、結構歩きますよ」「結構です」 なぜだ。ぜんぜん結構じゃねえ。だがこちらも正常な判断力を失っていて、早足で進む研修医先輩と夫氏の後ろをついていった。

なんきんにいったのです

元ネタを知っている人、そっちじゃないから。ただ書いてみたかっただけだから。でも、全身がはらさきいろにむれているのは同じ。でもなんきんじゃないよ。じたくなんきんが終わり、あとは確定申告をキメれば通常生活に戻れるというこの期におよんで、全身に発赤が出てしまいました。2~3週間前から顔が荒れてきて、特に目の周りがひどく腫れてしまい、とにかくおさめるものだけはおさめようと踏ん張り(体中が荒れている以外はとても元気です)、3月1日に皮膚科へ。ああ、これ、アトピーかなあ、アレルゲンたくさん持ってるしなあ、ストレスで発症したのかなあ、お酒飲めなくなるなあ(そこか!)と、暗い顔でKindle読みながら待つこと1時間。診察は10分。先生、ルーペでわたしの皮膚を観察して「これは乾燥性皮膚炎ですね!」とひとこと。原因はズバリ乾燥。先日の大雪以降、東京の湿度は低め安定で2月28日から3月1日未明まで続いた大雨まで低湿の状態が続き、きちんとスキンケアをしていないとかゆみが出る→かゆいかゆいとかいていると発赤が出る→それがかゆくてかいてると広がる→体中の皮膚が過敏になり、保湿していたはずの顔まで炎症が広がる→今ここ翻訳者の性(さが)と申しましょうか、診察終わって病院そばのカフェでお昼食べながらネット検索したところ、乾燥性皮膚炎の原因その2は加齢だそうです。加齢。行きに病院まで車で送ってくれた夫氏にメッセンジャーで報告し、家に帰ってから「原因は加齢だって」と言ったらめちゃ受けてました。とはいえ、顔になぞの赤い腫れが出現したときはひどく心配してくれたので、原因が究明できてほんとうによかったです。患部に軽めのステロイド軟膏を塗り、抗ヒスタミン剤を内服して1日、なーんか遠いところでかゆい感覚があるー ぐらいまで落ち着いてきたのにはびっくり。顔の腫れはまだありますが、メガネしてマスクして外出すれば気づかれないぐらいまでおさまりました。2週間分のお薬を飲みきり、塗りきったら全快しそうな感じです。じたくなんきん明けの東京はとても暖かく、いつの間にか春がやってきていました。確定申告が終わったら何をしようかな~。