Amy-A

中央線のとある駅下車バス10分のところに住んでいます。

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肺を病みまして(3)ピンク・イズ・ニュー・ブラック

 病院の朝は早い。午前2時に入院しても午前6時に灯りが点き、ナースさんたちの足音が急に大きくなる。ワゴンを押して入ってくるなりナースさんが採血し、血圧、検温、酸素飽和度を図り、テキパキ仕事を片付けていく。わたしは身体を差し出すのがやっとだ。 酸素飽和度は90とまだまだだが、熱は38度台まで下がっていた。抗生物質えらい。1度下がるとかなり意識がはっきりしてくる。 午前8時。朝食がやってきた。まだ食べられないよ……。トレイに載った札には〈米飯:180g〉とあるけど、結構なボリュームだ。いやそれより箸がない。着の身着のまま入院したわたしには箸がない。「あのー、お食事には箸が載ってこないんですか?」 おそるおそるカーテンを開け、同部屋のみなさんに声をかける。「あ、わたしの割り箸あげるよ。たくさん買って余ってるんだ」前のベッドから声がして、ショートカットの女性が顔をのぞかせた。 ポップだ!『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』書籍版に登場する厨房のボス、Netflixでは「レッド」と呼ばれているポップそっくりの女性が、わたしに向かって割り箸を差し出している。「ありがとうございます!」「あとで一緒にセブン行こう。足りないものは結構セブンで手に入るよ」

肺を病みまして(2)ドクターGは実在する

「まず、心臓が少し大きい。これはそれほど問題じゃありませんが、肺に影が見えます。心電図にも異常が出ているのですぐに救急対応病院に行ってください。もう手配は済ませてあります」 こないだの病院に2週続けて金曜日に行くことになった。先週「どこも問題ありません」って明け方に追い返したじゃないか。ぶつくさ文句を言ってもしょうがないので、夫氏の車で救急外来に向かう。 さすがに「ヤバい」と思ったのか、今回は研修医2名が問診を担当してくれた。「今の胸の痛みはどれぐらいですか?」 ニヤリ。「ペインスケールですね?」「よくご存じですねー」「そういう本を訳しましたから」 研修医2名、スルー。スルーかよ。39度も熱があるから、とんでもないことをつぶやいているとでも思われたのだろうか。まさかのとき、自分が物書きであることを疑われぬよう、つねに自著を持ち歩け――という作家教室の先生のお言葉を思い出した。 もう一度心電図、ぐさぐさと採血。今飲んでいるお薬やら体調やらを説明したあと、真打ちの先生登場。痛い左の鎖骨周囲を人差し指でぐいっと押した。ぎゃああああ! ぐいっ、ぎゃああああ!を3回ほど繰り返すコントめいたやり取りが終わると、「たしかに炎症があり、左右で高さが違う。肩周辺が腫れている。でも、採血で出た炎症反応と白血球の値はそんなもんじゃない……」とおっしゃった。 考えこむ医師団。当直医の先生が席を外し、ややあって帰ってくると、研修医の先輩格のほうになにやら囁いた。彼はダッシュですっ飛んでいった。「アダチさーん、では肺のCT取りますねー」 肺? 頭の中をクエスチョンマークだらけにしながら廊下に出るわたしたち。研修医先輩は車いすの用意をはじめていた。「遠いから車いすで行きましょう」「いえ、結構です」 は?  間髪入れずに答えたのは夫氏だった。「でも、フロア違いますし、結構歩きますよ」「結構です」 なぜだ。ぜんぜん結構じゃねえ。だがこちらも正常な判断力を失っていて、早足で進む研修医先輩と夫氏の後ろをついていった。

なんきんにいったのです

元ネタを知っている人、そっちじゃないから。ただ書いてみたかっただけだから。でも、全身がはらさきいろにむれているのは同じ。でもなんきんじゃないよ。じたくなんきんが終わり、あとは確定申告をキメれば通常生活に戻れるというこの期におよんで、全身に発赤が出てしまいました。2~3週間前から顔が荒れてきて、特に目の周りがひどく腫れてしまい、とにかくおさめるものだけはおさめようと踏ん張り(体中が荒れている以外はとても元気です)、3月1日に皮膚科へ。ああ、これ、アトピーかなあ、アレルゲンたくさん持ってるしなあ、ストレスで発症したのかなあ、お酒飲めなくなるなあ(そこか!)と、暗い顔でKindle読みながら待つこと1時間。診察は10分。先生、ルーペでわたしの皮膚を観察して「これは乾燥性皮膚炎ですね!」とひとこと。原因はズバリ乾燥。先日の大雪以降、東京の湿度は低め安定で2月28日から3月1日未明まで続いた大雨まで低湿の状態が続き、きちんとスキンケアをしていないとかゆみが出る→かゆいかゆいとかいていると発赤が出る→それがかゆくてかいてると広がる→体中の皮膚が過敏になり、保湿していたはずの顔まで炎症が広がる→今ここ翻訳者の性(さが)と申しましょうか、診察終わって病院そばのカフェでお昼食べながらネット検索したところ、乾燥性皮膚炎の原因その2は加齢だそうです。加齢。行きに病院まで車で送ってくれた夫氏にメッセンジャーで報告し、家に帰ってから「原因は加齢だって」と言ったらめちゃ受けてました。とはいえ、顔になぞの赤い腫れが出現したときはひどく心配してくれたので、原因が究明できてほんとうによかったです。患部に軽めのステロイド軟膏を塗り、抗ヒスタミン剤を内服して1日、なーんか遠いところでかゆい感覚があるー ぐらいまで落ち着いてきたのにはびっくり。顔の腫れはまだありますが、メガネしてマスクして外出すれば気づかれないぐらいまでおさまりました。2週間分のお薬を飲みきり、塗りきったら全快しそうな感じです。じたくなんきん明けの東京はとても暖かく、いつの間にか春がやってきていました。確定申告が終わったら何をしようかな~。