沿ってみる
樹木希林さんが亡くなられました。
子どものころから当たり前のようにテレビに出ていた人が急逝されると、なんだか心にちいさい穴が開き、そこからひゅうと風が吹くような気分になります。子どものころは“おもしろい人”、内田裕也氏との結婚生活を興味深く感じ、モックンが婿入りしたと聞けば驚き、最近は枯れた演技と語りで他の追随を許さない大女優となって、スクリーンやテレビを通じて見知っていた方。
こないだ「むむむ」と唸ったのは、映画『日々是好日』の試写会に高円宮妃久子様がご臨席され、樹木さんがご病気で出席ができなかったときのメッセージです。
この度高円宮久子妃殿下並びに同絢子女王殿下の御臨席を賜りまして ひたすら有難く頭(こうべ)を低(た)れるばかりです
本を買って戴いて生活しているけれども、こんな立派なメッセージを自筆でお届けすることができるだろうか。自分を振り返り、ただ恥じ入るばかりでした。
生涯(ふたり目)のパートナー、内田裕也氏についても、こんな風に話しておられました(出典が見つからないのでウロなのはご勘弁を)
いや、まあ、大変な人なんですけどね、わたしずっと、この人に沿ってこなかったと思ったんですよ。何もしなくてもいいから、これからは沿っていこう、そう決めたんです。
たぶん、トークショーか何かで直接しゃべっておられたんじゃないかな。
そのとき、なるほどと自分を顧みたわけですよ。
うちの夫氏は結構変わり者で、まあ、いろいろ陰で表で言う人がいます。妻として、嫌な奴と思ったことも、本気で怒ったこともあります。
でも、こんなわたしを好いてくれて、20年以上夫婦をやってきて、今さらどうのこうのというのはやめて、あの人と“沿って”いこうと考えています。
つかず離れず、依存もせず、少し距離を置いて一緒に歩いて行く。
うまくできればいいんですけどね。まあ、ちょっと長い目で見守っててください。
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