白ヤギさんたら、読まずに持ち込んだ

村井理子さんが荒ぶっておられる。あ、うちの夫の話は軽くスルーしてください。スルーでひとつ。

うちらなに交換日記やっとんねん的な中、わたしもひとつ荒ぶりたいできごとがありました。



出版翻訳を目指して努力している人がいました。精力的にスクールに通い、リーディングや持ち込みにも力を入れているとSNSで熱く語ってらっしゃいました。頑張ってるなあと、先日、その方にとある原書を紹介しました。とても喜ばれたので、(ああ、わたし、いいことしちゃったなあ)と、ほっこりした気分で床につきました。

翌日、その方から「持ち込んだら、その版元さんがすでに版権を取って翻訳がはじまってるそうです」と連絡が来ました。メッセンジャーに不慣れなもので、あーそれは残念だったねーと書いて、閉じて、1時間ぐらい経って……


待てよ。

読まずに持ち込んだ?


翻訳者って、その原書を最初に日本に紹介する役目を担っているわけで、出版社さんに持ち込むんなら、事前にきちんと読んで、その本を邦訳して出すことにどんなメリットがあるか、ちゃんと語れなければいけませんよね。

以前、読んでとても面白かった本の話を編集者さんに聞いていただきたくて「××さん、△△の~~って作品ご存じですか?」と声をかけたら

「ちゃんと読みましたか?」

彼は開口一番、そうおっしゃいました。面白かったならどこがどうよかったのか、きちんと説明できなきゃいけなかったのに、わたしったら「面白かった~!」レベルで相談してしまった。自分の無礼を恥じました。



読まずに持ち込んだ方の話に戻ります。

読まずに持ち込んじゃうってすごい神経してるなあと思いつつ、仕事をしながらTwitterのウインドウをチラ見してたら、まさにその方のツイートが表示されました。

持ち込み1件、撃沈。

撃沈ってわたしが紹介した本じゃん!

なんかもう、自分ってどんだけお人好しだったのかと悲しくなりました。たしかにわたしは紹介しただけ。でもツイートを読んでると、いかにもその方がご自分で発掘したような印象を受けました。

こういうのを「他人のふんどしで相撲を取る」って言うんじゃないでしょうか。

その人がパンツを履き替えるたび、パンツがふんどしになあれ♡と、お星様にお願いしておきました。お願いが済んだから、この件はもうおしまい。

ゲラに戻ります。

Gravity_Heaven

Twitter ID:Gravity_Heavenこと、翻訳者安達眞弓のオフィシャルサイト。 本と音楽と映画とドラマと なんだかんだ。